2000人のホームページを考える会

2002年12月8日、早稲田大学理工学部55館N棟第一会議室で「2000人のホームページを考える会」と名付けられた会議が催されました。

これは、平成14年度で当初の活動目標であった"全集落取材"をひとまず達成したため、活動のねらいを改めて再確認すると共に、今後の活動方針を具体的に話し合い、取材スタッフが共通の認識を持つための会議です。

会議には現役スタッフ・OBから20名ほどが参加しました。休憩をはさんだ前後2時間ずつ、計4時間にもわたる長丁場にもかかわらず、会議時間が足りなくなるほど活発に意見が飛び交いました。


「2000人のホームページを考える会」議事概要
<事業のねらい>
まず、2000人のホームページ事業のねらいについて、個々のスタッフの考えが述べられました。

・早川町の生活文化・人的資源の掘り起こし。
・町外の人たちに早川町の本当の姿を紹介し、理解してもらう。
・町民に自身の半生や地域文化に対する愛着を深めてもらい、山村でも自信をもって生活できることを再確認する。
・研究所の考え方やスタンスに対する町民の理解を深める。
など。

これに対し、「抽象的で曖昧」「もっと具体的な目標設定が必要ではないか」との意見も。これはスタッフ内部で以前からたびたび論じられてきた話で、やはりある程度具体的な目標の設置が早急な課題であることが浮き彫りとなりました。

<今後の活動について>
今後の活動、取材方法について。

■採取データに関する合意
・取材対象者の氏名・年齢・性別など、最低限聞く内容についてスタッフ間で合意しておく必要がある。これらの基本項目がばらばらでは、データとしての活用の可能性を狭めることになる。
■一次データの充実
・データベースとして残しておく部分と、WEBで発信する部分を分けて考える必要がある。全てをWEBで発信するのは危険だが、データとして残すには現在の記事では不十分。
・取材者が取材中に走り書きしたノートは残っているものの、内容の取り出しが非常に困難である。これを清書、もしくはデータ化しておくべきではないか。
■取材への町民参加
・学生はあくまで外部の人間であり、これを徐々に町民自身の活動へと移行させていった方が良いのではないか。
■デジタルミュージアム化
・生活文化(衣食住・生業・祭事・信仰・民具など)の記録としての内容の充実。現在の「見どころ調査」「集落紹介」では内容が薄い。「個人の話」に重きをおいた従来の活動に「地域調査」を加えていくべきではないか。

などの意見が出ましたが、町民参加については「逆に外部の人間だからこそ引き出せる話が多く、あたりさわりのない内輪の活動になっては意味がないのではないか」との反対意見もあり、これは今後の具体的な活動を考慮した上で再検討されることになりました。



<ねらい・活動のまとめ>

これらを踏まえて、さらに議論を進めた結果、

・調査項目の限定は取材自体の魅力を低下させることにも繋がるのではないか。意図しない話にこそ面白さがある。
・この活動は「調査(目的を持って調べる)活動」より「採集(点在するものを拾い集める)活動」としての意味合いの方が大きい。そもそも調査にこだわる必要はないのではないか。

などの意見も出され、最終的に2000人のホームページの活動は「さまざまな活動の下地作りとなることを目指し、従来のやり方を基本とする」が、さらに「内外問わず面白そうなものはどんどん取り込み、拡張していく」ということにまとまりました。
つまり、2000人のホームページ自体の方向性を変革して新たな成果を求めるのではなく、この活動で「広く薄く」収集した情報を元に、専門的調査も含む様々な新プロジェクトの立ち上げを促し、最終的には、それら全ての成果をリンクして公表する場(デジタルミュージアム構想)として2000人のホームページで再び統合するという考え方です。PCのソフトに例えるなら、専門的なアプリケーションではなく、ランチャーを基本とした総合情報検索ソフトになろう、といった感じでしょうか。

<新プロジェクト案>
活動目的・意義についてひとまずの結論が出たところで、具体的な新プロジェクト・拡張案を募集しました。
一人が一枚ずつ紙に書いて発表するという形で、実に多くのアイデアが提案されましたが、それを系統別にまとめた結果、およそ以下のような案がまとまり、活動に向けて動き出すことになりました。

■2000人のホームページの記事・機能の拡充。
・記事上で興味を持った相手に、実際に連絡を取れる手段を検討。「この人にアタックボタン」。
・取材中に御馳走になった地域性のある家庭料理を取り上げた「○○さん家のレシピ」など、内容にとらわれない記事の充実。
・取材スタッフの日常についても、もっと詳しく紹介。
■地域学習教材としての紙媒体。
・外から見ればすごいと思うことを普通にやってきた人を取り上げた絵本「カッコイイんだぜマン」。
■地域文化の専門的調査。トピック取材。
・集落の風土・歴史について、民俗学などの見地から突っ込んだ調査を行い、2000人のホームページの内容の拡充を目指す「デジタルミュージアム取材班」。

これらの活動について、会議に出席していたメンバーの中から仮の班分けが行われ、いよいよ具体的活動に向けて始動‥‥



<つづく>
と、今回の会議はここで時間切れ。資金面の見直しや取材スタッフの育成など議論する予定だった話は、今回の議論を一旦まとめた後、第二回会議で具体的に話し合われることになりました。